※今、時間に余裕がないアナタには、この記事は向いてないです。
※タイトルは、漢字を並べて、ヲタっぽい言葉を作りたかった気持ちを表現したものです。意味はありません。(いや、ま。妄想には違いないな)
※もっと言うと、満員電車で携帯を覗き見られたアナタが、このタイトルをクリックした瞬間「うわ。どんな記事読んでるんだよ…」と、周りに思われることも、多少なりとも意図しました。
※怒りました?すみません
夜風にあたりたい時。ふと、そんな瞬間がやってくる。
ここに一人、まだ若い会社員の男が夜道を歩いている。
早く仕事を切り上げたが、誰もいない家に帰るのも悲しいので、今日は散歩がてら、夕食を外で済まそうと考えたのだ。
駅と反対の方に歩くと、ビルも少なく、静かな所に出た。
レトロな匂いを漂わせるような所が、まだ都会にもあったのか。
空腹感も一層強くなったので、手頃なところでレストランに入った。古ぼけた店だった。
「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」
「ああ」
「では、空いているお席にどうぞ」
窓際に座ると、喫煙席なのを確かめ、タバコに火を点けた。
客は…男を入れて4、5人。皆、連れはいない様子で、黙々と食べたり、携帯をいじったり、雑誌を読んだりしている。
水が置かれたので、一口飲んだ。水道水の味がする。
「…」
とりあえずメニューを開いたが、格別食べたいものがあるわけではない。まずは、空腹を満たしてもらえれば。
「すいません」
「は〜い」
若い女の店員が、ちょこちょことやってくるのが見える。
彼女がメモをとれるようになったのを確認し、男はメニューを指して「これを」とだけ言った。
「ハンバーグのおろしダレですね。こちらですと、サラダもセットになりますが…」
メニューにはサラダが付くなんて、どこにも書いてない。
そこまで食べるつもりはないので、
「あ。いや、サラダはいりません」
と答えた。
彼女は困った様子で、
「でしたら、単品でよろしいですか?」
きっと自分は、セットメニューを指していたんだろう、と男は思った。
「ええ」
「単品ですと、ハンバーグだけですけど…」
「………と言うと?」
「バターコーンも、ニンジンも、ポテトも付きません」
「まさか…肉だけ?」
男は目を見開く。
「そんな興奮して喜ばなくても」
「いや、喜んでませんて」
「まぁ、別にそこはどうでもいいです」
「そうですか。…ではなくて、肉だけなんですか?普通は添えものとか…」
「ウチは付きません」
何がなんだかわからない。周りの客は黙々と作業をしている。
自分がおかしいのか。それとも、彼らが他人に興味がないのか。
しかし、今はこの店員が問題である。
「いや。じゃあ、メニューの写真は…」
「これは、サラダ付きのものです」
「じゃあ、サラダだけ抜きに…」
「ですから。単品ですと、コーンもニンジンもポテトも付かないんです」
彼女は苛立っている。
男は思った。
例え彼女が怒っていても、俺は何も間違っていない…と。
「サラダ食べればいいじゃないですか」
これが店員の言うことなのだろうか。
「そこまでお腹空いてないです」
「じゃあ、添えものいらないじゃないですか」
「や。それは…必要ですよ」
「いらないです」
「……(´・ω・`)」
「あ。でも、食後にコーヒーが付きます。お代わり自由です」
「じゃあ、こっちだったら?」
「…サラダがつきます」
「コーヒーは?」
「つきません」
「単品なら、コーヒーは?」
「つきます」
「ニンジンは?」
「つきません。何回も聞かないで下さい。馬鹿にしてるんですか?」
「確認ですよ!」
男も正直苛立った。女一人に言い合いをしている自分自身にも苛立った。
「じゃあ、単品でいいです。ハンバーグ単品で」
「かしこまりました」
女が厨房へ帰って行くのを見送ると、吸っていたタバコを揉み消した。吸い殻がグニャグニャに押し付けられた。
灰皿から立ち上る細い煙をみながら、男は爪で、机をコツコツと叩いた。
たかが飯を食うくらいで、なんで俺が…。
溜め息をついて、背もたれに寄りかかった。
男もそこで、徐々に冷静になり落ち着いてきた。コップの水をまた一口飲み、辺りを見回した。
意外と雰囲気は悪くはない。悪いのは店のシステムだ。
「だから、客も少ないんだよ」
ボソっと呟く。もともと寡黙な性格なので、人と言い争いをするのは性にあわない。うまくそれを避けるのも、時には大切なのであるということを、最近よく思うようになった。
しばらくすると…
「お待たせしました。ハンバーグのおろしダレです」
さっきの店員だった。だか、今そこはどうでもいい。
目の前に置かれたハンバーグ。鉄板の中央に、ちょこんと置かれたハンバーグ。彩りの悪い料理。
崩れんばかりに盛られた、大根おろし。
「こちらのタレを、上からかけてお召し上がりください」
「この…おろしの上から?」
「…ええ」
女は怪訝な顔をして立ち去った。
さて。これをどうしたものか。
鉄板から聞こえるジュウジュウという肉汁の音が、まるで大根おろしの山の下敷になっている、ハンバーグの悲鳴にすら聞こえる。
とりあえず、タレをかけてみる。鉄板で蒸発し、一層音をたてた。匂いも悪くない。温かさもわるくないだろう。
ただ…
「…大根おろし」
メニューを見た。そこに写るおろしは、ハンバーグをまるで可愛らしく着飾っているかのようだ。
目の前のハンバーグを見た。いや、おろしを見た。
まさに、霊峰富士のごとく高々と盛り付けられたおろしは、もはや神々しさを放っているように見えた。
しばし考えていると、みるみるおろしの山は崩れ、やがてハンバーグが見えなくなった。
ふと気付くと、一人の中年サラリーマンがハンバーグを食べている。鉄板の上にはニンジンや添えものが。しかし、サラダはどこにもない。
この瞬間、嫌がらせをされているということだけは、男にもハッキリとわかった。
ここで怒る気にもなれず、ある程度大根おろしをよけると、黙々とハンバーグを食べ始めた。
味は悪くない。大根おろしの味が強い気がしなくもない。
ハンバーグは全て食べた。よけた大根おろしが、鉄板に多量に残っている。
「すいません」
「はい」
「食後のコーヒーを…」
店員は鉄板を見つめて、問かけてきた。
「大根…残ってますが、お下げしてよろしいですか?」
男は下唇をギュッと噛んで、強く息を吐くように
「…ええ」
と答えた。声が震えた。
「かしこまりました」
女は鉄板とタレの入った容器を持っていった。
男はこの時、本当の嫌味というものを知った。
先程のサラリーマンは、食後のコーヒーを飲みながら、アダルト雑誌を黙読している。
あれは、コーヒーを別で頼んだんだ。間違いない。
こう思う他に、男に道は残されていなかった。
ひとつ気付いたのは、自分が嫌がらせをされる心当たりがまるでないことだ。
すぐにコーヒーが運ばれてくる。ここまできたら、男もある程度の覚悟をもっていた。
ミルクがないとか砂糖がないだろうと予測はできていた。いや、もしかしたら薄いコーヒーかもしれない。
「コーヒーになります」
目の前に置かれた、コーヒーとスプーンと砂糖とミルク。
「なんだ…普通にできるじゃないか」
砂糖を半分とミルクを入れて、ゆっくりとかき混ぜる。コーヒーの色がまんべんなく変化したところで、そっと口に運ぶ。コーヒー特有の香りが漂う。
男は気付くべきだったのだ。そのときに…。
「…なるほど」
もう感心した。
コーヒーが…ぬるい。
いれた時は、きっと熱湯だったのだろう。意図してそれを放置したにちがいない。
いっそハエが入っているとかのほうがよかった。飲んでしまったらどうするんだ、というほどでもない。よく見れば、湯気がでていなかった。
カップを受け皿の上におくと、ひとまず大きく息をついて天井を見上げた。
今の自分は、なぜ声を張り上げることができないのか謎だった。
窓の外は真っ暗で、店の中がうつっている。
食後のコーヒーとか、今はもうどうでもいい。
すっかり冷めきった…というより、元々ガッツリ冷めていたコーヒーを見つめて、それからゆっくり立ち上がった。
男自身にとって、意外にも心は穏やかだった。むしろ、無に近い状態だった。
何か悟りでもひらいたような。
「お会計、\1050になります」
高いじゃないか!!と、声をあげることもなかった。
店員が…心なしか、ガッカリしたように見えた。
「ちょうどお預かりします。レシートと、こちら食後のガムです」
レシートを財布にしまい、ガムを手にとった。グレープ味の10円ガムだったが、やはり不思議と怒りは湧かなかった。
普通はミント系だろ…とも思わなかった。
「ありがとうございました」
店員は最後まで頭を下げなかった。
夜風が肌にあたるが、心同様、皮膚もカラカラだった。
ちょっとした散歩のつもりだったが、ある意味思わぬ遠回りをしてしまった。人間とか、もはやどうでもよかった。今は何も考えたくはない。何も……。
でも、たった1つ心に浮かんだ想いがあった。
「帰ったら、お茶漬け食べよ……」
え?ここまで読んだんですか?
時間は有効に使いなさい!
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